ハルトコーティングとDグラスコートは同じ商品です
令和元年8月5日
ハルトコーティング塗布によるガラスの衝撃強度向上の確認試験
大阪工業大学 工学部教授
西川 出
目的
ガラスの耐衝撃性を向上する一手法としてガラスコーテイングが考えられる。
本試験はガラスコーティング(ハルトコーティング)によってどの程度ガラスの衝撃強度が向上するかを定量的に明らかにすることを目的とする。
試験方法
市販のフロートガラスを試験対象とする。試験片は100㎜×100㎜×2㎜厚のフロートガラス版である。このガラス板にハルトコーティングを施したものを処理剤。このコーティング処理を施さない物(バージン材)を未処理材と称することにする。
衝撃試験機には直径13の丸棒をポールとするスタンドを使用した。ポールの長さは2mである。このポールにマグネットスタンドのマグネット部を逆さに装着できるように器具を作成し、マグネット部を固定した。このマグネット部に鉄球を保持させる構造とした。落球させる鉄球はマルテンサイト系ステンレス鋼SUS403の球であり、64gと95gの2種類の球を用いた。球の落下場所は試験片の中心部となるように試験片固定ベースをセットした。このベースは100㎜×100㎜×50㎜のS54C鋼製で十分強度の高いものを採用した。これにより落球のエネルギがすべてガラスに伝わるようにした。落下高さを調節することにより、落下エネルギーを変化させ、そのエネルギーで試験片が破壊するか否かを判定した。
Soれぞれの落下エネルギーに対して基本的にはn∞5で試験することとした。
試験結果
64gの鉄球による試験結果のうち、未処理材に対して落球試験を行った結果を表1に、ハルトコーティング処理を施したもの(処理材)に対して落球試験を行った結果を表2に示す。
次に95gの鉄球による試験結果のうち、未処理材にしたいして落球試験を行った結果を表3に、ハルトコーティングを施したもの(処理材)に対して落球試験を行った結果を表4にまとめて示す。
表1~表4の試験結果を用いて、落下高さから下記の式により鉄球落下によりガラス試験体に加えられるエネルギーを求めた。ガラス試験体に加えられるエネルギーは鉄球の位置エネルギーEに等しいとして求めた。
E=mgh
ここでmは鉄球の質量(kg)、gは重力加速度9.80665(m/s2)、hは落下高さ(m)である。
これらのエネルギーを加えた場合にガラス酢検体に破壊が生じる確率を求め、それぞれ表5~8にまとめた。
これらの結果を試験に用いた鉄球別に図にまとめなおしたおのが図4および図5である。
破壊確率50%の時のエネルギーを試験体の耐衝撃強度と定義すると、64gの鉄球を用いた結果の図4からは未処理材の破壊エネルギーは0.155(J)、処理材の破壊エネルギーはおよそ0.217(J)と読み取れる。
また95gの鉄球を用いた結果の図5からは未処理材の破壊エネルギーは0.105(J)、処理材の破壊エネルギーは0.186(J)と読み取れる。これらの結果を総合すると、ガラス試験体にハルトコーティングを施すことによって未処理材に比べ64g落球試験では1.4倍程度、95g落球試験では1.77倍程度の強度向上が生じていることがわかる。
結論
ハルトコーティングにより耐衝撃強度が1.4~1.7倍程度向上し、このコーティングにより有意菜耐衝撃強度向上効果が認められることがわかった。